秋田観測所は、当初昭和24年11月5日に組織の上で 電波庁電波部電離層課秋田分室として発足したが、 実際には、電気通信省電気通信研究所所管の新発田 電波観測所(当時、新潟県北蒲原郡聖籠村、昭和21 年3月25日文部省電波物理研究所により設立)と同 所管の深浦電波観測所(当時、青森県西津軽郡深浦 町、昭和21年7月20日文部省物理研究所により設 立)との統合があり、昭和24年12月1日付で開設さ れたものである。
その後の所属は、行政機構の改正と共に幾度か変 遷し、昭和27年8月1日に郵政省電波研究所(現通 信総合研究所)の所属となった。また、太陽活動が電離層に及ぼす諸現象(デリン ジャー現象、磁気嵐等)の調査や短波帯電波の伝わ り方に関する基礎的な調査、さらには、衛星放送波 を利用した周波数標準に関する調査・実験等、地域 性を生かした研究も行ってきた。これらの業務では、常に変動する電離層の状態を 観測し、短波通信を行うユーザに対して周波数や時 間帯を適切に判断する情報を提供してきた。
秋田観測所は、平成3年6月に所属する通信総合研 究所の機構改正の一環として、開設以来41年余の歴 史に幕が引かれ閉所となった。職員数は、開設当時に初代観測所長糟谷氏ほか16 名、郵政省に所属となった昭和27年当時には14名で あったが、閉所間際には観測所長ほかわずか2名で あった。
【参考資料1】所長 畚野信義、「秋田電波観測所の閉鎖に当たって」、CRLニュース、1991.6、No.183
【参考資料2】田中正利、「秋田電波観測所 -41年余の歴史を閉じる-」、CRLニュース、1991.6、No.183
【参考資料3】秋田観測所名称沿革