「おしょろ丸」ヘ衛星ファクシミリ往復書簡
当所では、人工衛星を用いて船舶や航空機などの移動 体に高品質、高信頼度の通信を提供する新しい移動体衛 星通信の研究を世界に先駆けて行っている(ETS-Ⅴ/EM SS実験)。この研究の一環として、北海道大学水産学部 の「おしょろ丸」に当所で開発した衛星通信装置を搭載 し、当所の研究員2名が種々の通信実験を行っている。 「おしょろ丸」は、昭和63年10月20日、遥か太平洋上の トラック諸島及びポナペ島を寄港地とする約70日間の演 習航海へむけ函館港をあとにした。
本通信実験も第三回目となり、乗組員の方々からこの 衛星通信を用いて家族と連絡したいとの要望が強く出さ れ、また当所としても衛星通信の有効性を理解頂き、乗 組員の協力に報いるため、実験の一環としてファクシミ リ伝送サービスを試みることとした。
「おしょろ丸」から家族あるいは友人宛に伝送された ファクシミリは約60通でほぼ乗組員全員からである。 ファクシミリはETS-Ⅴ衛星経由で当研究所鹿島支所で 受信され、直ちに指定の宛先へ郵送された。遥か洋上で の生活を案じる家族や友人には予期せぬ連絡に驚きと 同時に急速な技術開発の進歩を肌で感じて頂けたよう だ。ここに、ご本人のご了承のもとファクシミリの往復 書簡(一部)を紹介させて頂く。
【資料】CRLニュース、1981.1 No.154