日本で最も正確な時計のある駅

 NICT(国立研究開発法人情報通信研究機構、東京都小金井市)は、日本標準時を提供しています。皆様が日頃時計の時刻合わせに使っている、テレビやラジオの時報はNICTから供給されている時刻です。東京都小金井市にあるJR武蔵小金井駅には、NICTから供給されている時刻の表示板が設置されています。日本で最も正確な時計が設置されている駅と言うことになります。
 本デジタル時計は、平成26年(2014年)2月に設置され、日本で最も正確な時計として親しまれてきました。
 しかし、時計の老朽化、受信する電波方式の変更、うるう秒の廃止等の理由で令和6年(2024年)3月31日に撤去されるそうです。

最も正確な時計は小金井で生まれました

1953年(昭和28年)当時の電波研究所標準電波課正門(現在、都立小金井北高校となっています)。

1955年(昭和30年)当時の電波研究所標準電波課付近の航空写真。

1973年(昭和48年)当時の電波研究所標準電波課

 1920 年代には無線通信機利用が盛んになり、混信を避けるため基準となる物指しの必要性を痛感するようになりました。そこで周波数の世界共通標準を実現することの重要性を認め、国際会議で議論が進められました。我が国においては、これを受けて1922(大正11)年、文部省の学術研究会議内に逓信省、陸軍、海軍、民間も参加して電波研究委員会が設立され国家プロジェクトが進みました。1940(昭和 15)年 1 月には、逓信省告示第一号により公式に標準電波が発射されています。
 当時、「秒」の決定は文部省東京大学天文台の所掌でした。この点を重視しながら、総合施設の建設問題が種々検討された結果、場所は東京都北多摩郡小金井町小長久保(現在の小金井市緑町にある都立小金井北高等学校の場所)に決定(1948(昭和 23)年)されました。終戦を挟みますが、1950 年頃までの建設現場は、左の写真(左上)のように 周辺は栗林と一面畑の中に農家が点在するといった、村から町になって間もなくの人口一万足らずの場所でした。上中と上右のは、1955年(昭和30年)と1973年(昭和48年)当時の写真です。