機器課

無線機器の型式検定は、明治45年、イギリスの貨客船 タイタニック号の遭難があり、これを契機に、海上にお ける人命の安全を図るための国際会議が何度か開催さ れ、国際航海を航行する船舶には無線方位測定機や緊急 自動受信機等の設置の義務付けが検討された。これらを 背景に昭和8年関係諸法令が公布され、引き続いて昭和 10年に逓信省令(型式試験規則)が、施行されて型式検定 業務が開始された。その後昭和25年6月に電波法及び電 波関係諸規則の改正が行われ、この規則も装いを新たに 無線機器型式検定規則として公布施行されたのである。 当初は、設置を強制する義務検定機種が主であったが、 電波利用の多様化に伴い、昭和30年代に入ると申請者か らの委託によるFM送受信機やSSB送受信機等の任意 検定が行われるようになり、機種や申請数も年々増加し てきた。このため昭和53年には、無線設備検査検定協会 が設立され、任意検定機種の試験業務の一部が協会で実 施されるようになった。現在の検定機種は、義務検定機 種の船舶用レーダ、周波数測定装置等6機種及び任意検 定機種のラジオ・ブイ、遭難自動通報設備の機器等12機 種である(第1表参照)。このうち当所が義務検定の全機種と 任意検定4機種(1部協会と重複)の試験を行い、協会 が任意検定の9機種の試験を実施している。こうして型 式検定は、電波監理の一翼を担って歩み続け戦後の電波 法施行からも30有余年となる。

【資料】通信機器部機器課長 渡辺重雄、「無線機器型式検定よもやま話」、電波研究所ニュース、1984.10 No.103