特別研究室

第1特別研究室

第一特別研究室は,昭和50年7月に再発足した,三つの 特別研究室の中で実質上一番新しく,また当所にある総 数30余りの研究室の中でもおそらく最も新しい研究室の 一つであります。もともとは電波部にあった「電離層不 規則性の研究」という正体のあまり明確でないような研 究プロジェクトを踏襲し,3年後の現在も同じ名前のプ ロジェクトしか持っていない単一プロジェクト研究室で あります。
 電離層不規則性とは,電波研究所で業務として実施し ている毎月の短波の平均的な通信状態の予報のように, すでに統計的にも理論的にもその特性が知られているよ うな正常な伝搬様式ではない異常伝搬に関することを指 していると考えています。即ち,高度約100㎞のE領域 に気まぐれに発生し,時にはテレビ電波の混信の原因と なるスポラディックE層(Esとも呼んでいる)とか約200 乃至400㎞の高度のF領域に発生し,イオノグラム上の画 像のボケとなって認められるスプレッドFなどのもとと なっている電子密度構造を意味しています。このように 理屈っぽくいうと難しいように聞こえますが,要する に電離層の乱れに関することなら何でも多かれ少なかれ 関係があるといえましよう。


ETS-II衛星用GHz電波用パラボラ・アンテナと 136MHz用八木アンテナ
【資料】第一特別研究室長 新野 賢爾、「研究室めぐり-その1第一特別研究室」、電波研究所ニュース、1978.11 No.32

1970年頃には、第1,2,3,4特別研究室がありましたが、通信総合研究所となった1990年頃には3つとなっています。