沖縄電波観測所は,1972年(昭和47年)5月15日の沖縄返還によ って発足し,北谷村(チャタンソン)の米軍瑞慶覧(ズ ケラン)通信隊敷地内で,米軍の使用していたすべての 施設及び電離層観測機等を譲り受けて6月15日に業務を 継承した。これにより,沖縄は稚内・秋田・東京・山川 で約30年間続けられてきた電離層定常観測の仲間入りを し,日本最南端の亜熱帯地域での貴重な観測データが得 られるようになった。その後ホイッスラ観測や,斜入射 伝搬波の受信等の研究観測も行ってきたが,昭和51年 3月31日をもって瑞慶覧通信隊の使用していた土地が地 主に全面返還されることになり,当所も立ち退きを迫ら れた。代替土地の選定に当たっては紆余曲折があったもの の関係者の熱心な努力によって現在の中城村(ナカグスク ソン)に決まり,昭和51年6月16日から新庁舎と付属施 設の建設が開始され,昭和52年1月26日に写真のような 新観測所が落成する運びとなった。こうして戦後米軍に よって始められた沖縄での電離層観測は,名実共に当研 究所によって実施されることになった次第である。


1978.3 沖縄観測所(新観測所)全景

沖縄電磁波技術センターは、それ以来、電離層観測データの収集、電波の有効利用及び地球環境計測技術の開発を目的として、短波海洋レーダ、ウィンドプロファイラ、降雨レーダ等の研究開発を行ってきている。

【資料】沖縄電波観測所長 石川 嘉彦、「電波研究所めぐりその5 沖縄電波観測所」、電波研究所ニュース、1978.3 No.24
【NICTサイト】https://okinawa.nict.go.jp/HISTORY/index.html

1972年開設当時の写真など。