歴史資料館-小金井本部-衛星計測部

衛星通信部・衛星計測部の発足にあたって

昭和54年7月14日から当所の組織を一部変更して衛星 通信部及び衛星計測部を新たに発足させることになった。 これは旧来の衛星研究部を改組し衛星通信を担当する衛 星通信部及び衛星によるリモートセンシングを担当する 衛星計測部の二部を設置し、従来にも増して責任ある体 制の下に組織的に研究を促進して行くことを目指したも のである。発足に際し組織改正の経緯を述べ,あわせて 新しい両部の将来の指向する方向について述べてみたい。

“宇宙通信及び人工衛星の研究開発”は当所の主要な研 究分野の一つであるが,宇宙通信に関する研究について は既に20年も前にその研究に取り組んだ。初期の段階に おいては,鹿島支所に大型アンテナを含む宇宙通信施設 の建設を行い,昭和37年11月6日に交換された日米間の 通信実験に関する覚え書きに従って,NASAの通信衛星 リレー2号及び応用技術衛星ATS-1号等を利用して 日米間で主として通信実験を行い,当所は我が国の宇 宙通信の分野ではパイオニア的存在として活躍した。

昭 和42年の機構改正により衛星研究開発部が設置され,従 来から行ってきたNASAの衛星による宇宙通信実験に加 えて新たにわが国独自の人工衛星の研究開発が開始され た。電離層観測衛星(ISS)と実験用静止通信衛星(ECS) とが衛星研究開発の目標として取り上げられたが,昭和 44年10月1日宇宙開発事業団の設立と共に人工衛星の開 発は事業団の方へ移され,当所においては衛星研究開発 部を衛星研究部に改め,開発研究からユーザとしての衛 星の計画,設計並びに搭載ミッション機器の研究等を行 うようになり,今日に至った次第である。(以下資料参照)
【資料】所長 田尾一彦、「衛星通信部・衛星計測部の発足にあたって」、電波研究所ニュース、1979.8 No.41